LiDARの雨対策方法について

LiDARの雨による影響について

LiDARはレーザを発光して対象物からの反射で距離を計測している性質上、雨の影響はさけられませんが下記の様な対応をすることで影響を軽減することが可能となります。

マルチエコーによる対象物と雨の分離

北陽電機のLiDARにはマルチエコー機能が装備されています。
ガラスや雨、霧などの透明体、半透明体にレーザが当たると透明体に反射するレーザとそれを透過して奥にある物体に反射するレーザの2種類がセンサへ帰ってくることがあります。マルチエコー機能は同じステップ角上で帰ってきた複数のレーザ光から距離データを取得できる機能です。
　この機能を使用すれば戻ってきた距離値の近い物が雨や霧、遠い距離の物が実際に検出したい対象物といったようなすみ分けができるようになります。

また、障害物検知用途でエリアを設定して使用するタイプの場合は、一般的にデータ処理は難しいため、エコーの選択機能を使用して最後のエコーを選択することで対応します。

注意点としては雨は近距離で計測データが出やすいのですが、対象物と環境にエコーの分離特性が依存するので、計測した雨と対象物との距離差が３ｍ以上ないと分離がうまくいきません。また、近距離で細かな対象物を計測できない可能性があります。

測域センサによる雨フィルタ

エリアを設定して障害物を検知する機器の場合は上記マルチエコーデータでのデータ処理は難しいため、屋外フィルタとして雨フィルタを装備しています。
雨フィルターは同一STEPにてエリア内で雨を連続検出しないと検出しないフィルタとなっており、雨は一般的にランダムに計測されるので効果があります。
ディレイとの相違については、ディレイはエリア内での連続確認となっており、同一ステップ上での連続確認とは違い、雨を検出してしまいます。

雨フィルタの注意点としては連続確認となるため、反応が遅くなることがあげられます。

最小物体設定による対応

対象とする検出物体を大きなものだけに限定することも有効です。エリアを設定するタイプには最小検出物体の設定があり、そこで対象を５０ｍｍ以上に設定すると効果があります。
注意点はもちろんですが、細かな物体が検出できないことになります。

UST-30LCでの雨によるテスト結果

下記おすすめ設定での大雨(100mm/h程度)でのテスト結果
設定　雨フィルタ：大、エコー選択：最後、最小検出：５０ｍｍ
結果としては対象物を検知しながら、雨は検知していない

まとめ

LiDARを屋外で使用する場合、雨対策のおすすめ方法をまとめました。
下記からテスト結果資料もダウンロードできます。
※実環境にてご確認いただきますようお願いします。
※光学窓には、水滴が付着しにくいようにお願いします。
※scan毎に対して同一stepを計測しにくい、雪に対しても効果が見られる可能性があります。

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